東から家の妻側を見たところ。平屋建てですが、上に越屋根が乗っています。信州の民家の形に倣った外観にしました。
南側の外観。瓦屋根とカラマツによる板倉の壁、南側には室内からそのまま出ることのできる低いウッドデッキをもうけています。すぐそこにある畑の野菜を食べ、外から運び込んでくる薪で暖をとる暮らしをしているので、家も外とゆるくつながるように作りました。
左手のガラス戸が玄関土間の手前の風除室です。ここで上着を脱いだり、雪を払ったりしてから、玄関土間に入ります。伝統的な貫工法にガラス壁を取り付け、サンルーム的な空間としました。冬の間、外には出せないプランターを取り込んでおく場所ともなっています。
玄関土間は、この敷地の土に石灰とにがりを混ぜて練り、突き固めた「三和土(タタキ)」です。冬の長い陽射しが奥まで入り土間を暖めます。さらに薪ストーブの熱はレンガ壁と土間に蓄熱され、この家を柔らかく保温します。
玄関土間から奥へとあがると食堂と台所、一段高い左側にあがると、掘りごたつのある和室です。土間の上は吹き抜けで、暖かい空気が上の越屋根部分にのぼるので、それをダクトで床下に導き、家全体の床下を暖めます。重厚な木組みによる伝統構法の骨組みです。
吹き抜けの上部はこんな感じです。いちだん高くあがった越屋根のガラス窓からも日が射し込み、採光の役目も果たしてくれています。
和室。ここがリビングでもあり、打合せ場所ともなっています。左手が、寝室です。
手前の畳の中央の板敷き部分は、冬には掘りごたつとなります。
西の妻壁部分。子供室として使っていた屋根裏部屋です。外側に跳ね上げているのは網戸です。
夕方、あかりが灯ったところ。越屋根や貫の横のラインが、いい表情を作っています。通常は小壁にする梁上の部分もガラス窓と障子を入れているのがお分かりいただけるかと思います。
障子を閉じると、こんな感じになります。行灯のようです。
撮影:岩為