長野県の北部、妙高山や黒姫山などの北信五岳を望む風光明媚な飯綱町に建つ板倉の家です。清流と美しい山々に囲まれ日本の原風景ともいえる農村地帯は、日本有数の豪雪地帯でもあります。老朽化した旧家を建て替え、雪に強い住まいづくりを目指しました。冬場、重労働の雪おろしをしなくて済むように、過去の積雪データから1.5mまでの積雪に耐えられる「耐雪形」の建物として丈夫な板倉耐力壁を多用し、積雪に対し十分な強度を持たせています。
冬場雪に囲まれた暮らしの中でも、薪割りや灯油の補給など戸外の活動がしやすいようにと大きな屋根の車庫を家の横に並べた配置としています。玄関や勝手口に雨に濡れずに入ることができ、さらに勝手口からは倉庫として使っている裏の土蔵へと通じる雪国の雁木のような通路も付けています。
南側外観:杉板張りの外壁。右側の車庫も積雪に耐える丈夫な構造。屋根の軒は大きくせり出させて(船枻造)、開口部を風雪から守る。
北側外観:車庫の屋根は、灯油タンク、薪置場(左側囲の中)や昔からの井戸を含めてなるべく大きかけている。雪に囲まれる冬季の戸外活動がやりやすい。
広間:薪ストーブの後ろの防火壁は版築。版築とは木の型枠を作り、その中に土を少しづつ入れて上から突き固めた土の独立壁のこと。自然な横縞模様が美しい。施主自ら施工したもので、取り壊した旧家の土壁を混ぜた材料でつくった。薪ストーブの熱を蓄熱しやわらかく放熱してくれる。
広間からキッチンを見る。室内は、杉の無垢板の暖かく清々しい香りに満ちている。
広間:欄間のある大きなサッシュ。夏場は涼しい風が抜けていく。
小さなカウンターのついたアイランド型のキッチン。
和室:旧家にあった仏壇もぴったり納まっています。
2階のフリースペース:こども室として利用。
玄関:大きなテラス窓で庭へもつながり、車いす用の出入り口として使える。上がり框や棚板は旧家の材料を使っている。