先祖代々の山の木を使い、施主手づくりの素朴な庭に似合う小さな離れをつくりたい、という願いがかなった板倉の家です。のどかな田園地帯の築100年を越える母屋の向かいに建ち、畑や庭の作業の合間の休憩場所として、また、鉢植えの植物の越冬場所、友人を招いてのミニコンサート会場、お客さんの宿泊や帰省した家族の憩いの場所等などの利用を考えています。
まずは、施主の持ち山の木の伐採からスタート。施主と山を見て廻り、木の成長具合や樹種、搬出のしやすさなど検討、切り旬の冬季に伐採、天然乾燥をかけています。そのため、小さな建物でも竣工まで2年もかかっています。施主の山には成長した木が十分あり、無垢材を大量に使う板倉構法はぴったりでした。
小さな家でも土間キッチンやトイレ、シャワールームなどを設け独立した生活が送れるように設計されています。南側の大きな開口は、すべての戸が引き込まれるよう設計され、手づくりの庭と建物が空間的に一体となるよう工夫されています。
南側外観:漆喰と杉板張りの外壁
庭から見た建物
家の中に前庭が飛び込んでくるように、大きな引き込み戸を設置。テラコッタ張りの土間は太陽光を蓄熱し、夜間は放熱する。
広間:すべて施主の山から伐採した無垢の木材のみを無塗装で使用。ロフトに上がるための箱階段は、収納不足を補いながらも空間を広く見せている。
堀コタツのある広間。無垢材を使うことで、室内はいつも清々しい木の香りに満ちている。
本棚と一体のリズミカルな箱階段。ルーバー扉の中は、床下暖房機を収納している。
ロフトにも庭を眺める大きな窓を設置。日差しもたっぷり入る。
天井の低い落ち着いたロフト。畳敷きで寝室として利用する。
土間のミニキッチン。無垢板の手づくり。