2006年竣工。近くに伝統的建造物群保存地区があるので、地域にあった景観を意識し、船枻(せがい)造りを採用しました。船枻造りとは、1階よりも張り出している2階部分を腕木で支えている構造で、長野や岐阜などの民家によく見られる様式です。外観には伝統的な要素をとりいれましたが、暮らしやすさの面では現代的です。夏に暑すぎず、冬に寒すぎない家にするため、温熱環境には気を使いました。夏は1階2階の広い開口部から入った空気が、突き出し屋根に抜けるよう、室内に風の道を確保し、冬は、1階に地元の土を使って建て主さんと共につくった三和土(たたき)の土間が太陽光をあびて蓄熱し、夜に放熱することによって室温の低下をやわらげます。建材には、もちろん自然素材をふんだんに使っており、暖房には薪ストーブを使う、健康的な家です。
撮影:岩為