古い離れ住宅の建替えです。道路より一段上がった陽当りと眺めの良い敷地に、コンパクトな平屋の離れ住宅を造りました。中庭を挿んで親の住む母屋の南側に、おたがいの気配を感じながらも独立した暮らしができるように、また古いお社がある中庭の清々しい雰囲気を壊さぬように、そして南側の山の自然を存分に眺められるように計画されています。
周囲に威圧感を与えないようになるべく低く抑えた外観で、温かみのある優しい無垢板、無塗装の外壁です。敷地内への大きな車の出入りに支障が無いよう、アプローチ側の軒高はある程度高く設定しながら北側の母屋への陽当りを確保し単調な立面とならぬように検討した結果、屋根の棟が建物平面形の対角線上に来る変形した寄棟屋根となりました。
南側の大きなテラスは雨ざらしとなることから、骨組みは長持ちするように鉄骨としていますが、床板や手すりの幕板は、目に優しく照返しの無い無垢板としています。それらは雨風に晒され傷んできたら簡単に交換できるようにしています。
もちろん地域材カラマツの無垢厚板を使った板倉構法で、ほぼ自然素材だけで出来ています。天井を張らない架構現しの建物で、平屋でも空間的な変化があり圧迫感の無い室内空間です。向こうの山の緑が飛び込んでくる広間は畳敷きで、堀炬燵や思い出の旧家の書院障子を再利用した出窓があり重心の低い落ち着いた雰囲気としています。
コンパクトな手作りキッチンとちょっとレトロな玄関の引戸
あえて南側にした清潔で明るい洗面室
出窓からは春になると庭の花々が眺められます。