2014年竣工。環境意識が高く、真田一族が好きな建て主さんの家。真田氏の菩提寺の近くに土地を決め、環境負荷を最小限に抑えたいという意思から、仕様が決まりました。総二階の大きな家ですが、吹き抜けのある家の真ん中にペチカを設け、それで全館暖房をします。ペチカの前には、蓄熱体の役割も果たしている三和土(たたき)の土間を建て主施工でつくり、屋根の上には太陽熱温水器も載せています。お風呂は五右衛門風呂で燃料は薪。トイレにはカナダから輸入したバイオトイレを採用し、その回転ドラムは半地下に設置し、冬季の温度低下を少なくするようにしています。長らく自然素材住宅を設計してきましたが、ここまで強い意思を持った建て主さんは初めてで、こちらもとても勉強になりました。3人のお子さんがのびのびと走り回り、元気に暮らしているそうです。
落とし込み板壁の板倉工法ですが、1階の外壁は、縦板張りにして、しっかりと断熱しています。2階は漆喰塗りです。
レンガを積んで作った「ペチカ」の壁面に蓄熱させることで、この家の暖をとっています。手前に見える白い耐熱レンガの部分がペチカの焚き口です。土間で焚けるので、薪を運ぶこむのも楽ですし、居住空間に木屑を持ち込むことも防げます。
ペチカの左手が土間部分、右手が板の間のリビングです。リビング中央のテーブルは掘りごたつです。右手は、家庭菜園に面した縁側で、大きな開口部からは、太陽の暖かい陽射しがたっぷり入ってきます。
キッチン。大工手作りのキッチンセットのまわりに板のテーブルをつくりつけました。子供たちはここで食事もしますし、勉強もします。キッチンの背面の窓からは、眼下に真田の里の景色と蒼い山々のパノラマ状の風景を楽しむことができます。
眺めのいいお風呂。昼間に入りたいような景色です。
吹き抜けになっているリビングからキッチン方向を見たところ。手斧ではつった太い梁の上部は、2階のキャットウォークで、○子ども部屋と夫婦寝室とをつないでいます。ペチカの暖気が上にあがってきます。
2階のこどもスペース。屋根裏は、隠れ家のようなロフトです。
家を北西側から見たところ。2階の上には越屋根がつき、屋根には太陽熱温水器が乗っています。
撮影:岡沢 晴也(GENDAI.Pro)