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2023年8月31日

上山田の家

カテゴリー: 設計について

古い離れ住宅の建替えです。道路より一段上がった陽当りと眺めの良い敷地に、コンパクトな平屋の離れ住宅を造りました。 中庭を挿んで親の住む母屋の南側に、お互いの気配を感じながらも独立した暮らしができるように、また、古いお社がある中庭の清々しさを壊さぬように、そして南側の山の自然を充分楽しめるように計画されています。

周囲に威圧感を与えないようになるべく低く抑えた外観で、温かみのある優しい無垢板・無塗装の外壁です。敷地内への大きな車の出入りに支障が無いよう、アプローチ側の軒高はある程度高く設定しながら、北側の母屋への陽当りを確保し単調な立面とならぬよう検討した結果、屋根の棟が建物平面の対角線上に来る変形した寄棟屋根となりました。

もちろん地域材カラマツの無垢厚板を使った板倉構法で、ほぼ自然素材だけでできています。天井を張らない架構現しの建物で、平屋でも空間的な変化があり圧迫感の無い内部空間です。屋根形状と部屋の平面配置を整合させ空間の重心が低く落ち着きを必要とする和室を屋根の最も低い位置に配置しています。和室には掘り炬燵や思い出の旧家の書院障子をはめた出窓があり内法の高さ寸法に細心の注意を払っています。

 一段高い敷地のため浮遊感のある心地よい大きなテラスからは、南の山の溢れる緑が目の前に迫り毎日過ごす家にいながら、どこか避暑地に来たような開放的な気持ちのさせてくれます。