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2018年11月18日

重要伝統的建造物群 見学会 真壁&栃木

カテゴリー: 設計について

私の所属する〈NPO 木の建築フォラム〉の講習会「伝統木造の保存・活用」に参加してきました。10月20日は茨城県桜川市真壁町、11月17日が栃木県栃木市嘉右衛門町の重伝建地区に行き、保存活用の経緯や問題点などを直接関わった研究者等から講義を受け現地研修を行ってきました。

まずは真壁町。 小さな町ですが筑波山北側の在郷町として栄え、登録有形文化財家屋100以上を誇る町並み保存の先進地です。重伝建に選定された翌日、東日本大震災により土蔵など多くの建物が被災しましたが、現在大部分が修復されました。町並みの中の伝統的な建物をご覧ください。

 

つぎは、栃木市。ここは「蔵の街 小江戸とちぎ」として現在は観光地として賑わいを見せています。朝廷から日光東照宮へ遣わされた祭祀である例幣使(れいへいし)の通う道沿いに栄えた栃木町。昭和60年の調査では、蔵の街として知られる川越よりも多くの蔵造りの建物があったそうです。戦前から蔵造りの町並み保存に市民が関心を持っていて、その長い歴史と熱心さが現在の町並みに表れているようです。

大通りの新しいスタバの建物も伝統的な町並みに調和する好ましいデザインで、気に入りました。

重伝建地区にある油伝味噌の御当主の説明。

これは、重伝建地区内にある「旧ヤマサ味噌工場跡地」の改修部分と俯瞰した写真です。市が買い取り保存・改修を進め、大きな観光施設になる予定です。

いずれの町も、地域に残る貴重な遺産を粗末にせず、長い時間をかけ大切に後世に繋いでいく、行政を含む地域ぐるみの活動が少しづつ成果をあげていると思います。まちづくりや町並み保存とは数十年に及ぶ積み重ねであり「ローマは一日にして成らず」をしみじみ感じました。