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2019年10月29日

台風19号

カテゴリー: 暮らし

この度の、台風15号、19号、21号は大変な被害を東日本に与えました。被災された皆様には、改めてお見舞い申し上げます。

私の家の近隣には大きな被害はありませんでしたが、近くを流れる千曲川支流の神川には、あちこちに台風の爪痕が残っています。写真が神川の様子です。堤防道路が大きく崩落、濁流が川底を削って渓谷のようになってしまいました。手前下流側に近隣の人たちや我が家の河原の畑があるのですが、唯一の道路がもう通行できません。上流に見える橋も、橋脚基礎部分の堤防がえぐられ、通行止めのままです。

住宅の浸水など日常生活に直結する他の多くの被災ヵ所の復旧を急いでいただきたいので、ここはしばらくこのままと思いますが、改めて、自然の猛威・怖ろしさを感じます。

近年の日本では豪雨が増え、降水量が増加しているようです。温暖化により太平洋の海水温が上がり大量の水蒸気を発生させ、それが日本へ大量の雨を降らせているそうです。現代文明の科学技術は、便利で快適な暮らしを実現してくれますが、地球の気象はコントロールできません。温暖化はどうして起こるのか、誰がもたらしているのか。待ったなしで考え行動していかねばならないところに来ています。

2019年9月29日

木造車庫 完成

カテゴリー: 設計について

シンプルな木造車庫・倉庫です。既製品のイナバの物置やカーポートもリーズナブルでよいですが、安易な使い方・置き方をすると景観を台無しにします。木造でもそれほどコストをかけずに、見た目の良い丈夫な車庫・倉庫を造ることができます。木造の骨組みにガルバリウム鋼板の折版屋根をかけ、壁は合板に角波鋼板を張っただけ。入り口には、これから引分けのアルミサッシュが付きます。十分な機能を備えながら、これ以上シンプルにはできない建物。簡易な建築にも少し配慮するだけで、地域全体のの景観を美しく保つことができます。

2019年8月29日

板倉の家の断熱

カテゴリー: 設計について

今回は、板倉の家の断熱について書いてみたいと思います。

板倉構法は、溝を掘った柱の間に無垢の厚板を落し込んで壁を作り、床や屋根にもこの厚板を張って家全体を構成します。

つまり無垢の厚板に囲まれた家となり一般的な合板や石膏ボードの家に比べ、これで断熱性能や蓄熱性能がかなり良い家となっています。しみず建築工房では、さらに断熱性能を向上させるため、無垢厚板の外側に断熱材を取り付け外断熱工法とし、省エネ基準を超える性能の板倉の家を造っています。

今回は壁・屋根・床の断熱施工の様子をご紹介します。

まず、屋根の外断熱。 厚板の屋根板に透湿防水シートを張りその上に所定の断熱材を載せていきます。写真はネオマフォーム。

大きな 軒部分は断熱の必要がないので、下に室内がある部分に断熱材を載せています。この後、断熱材の上に通気層が確保できるように通常の野地板(屋根板)を張り、防水用のルーフィングと屋根材を施工していきます。

次に、壁の外断熱。

厚板の壁の外側に柱・梁を含めすべてを外断熱材でくるんでいきます。写真はスタイロフォーム。

この外断熱の上に、防風のための透湿防水シートと通気胴縁を取り付け、通気層を確保し外壁仕上げ材を張っていきます。

次は、床の断熱。

床を支える大引きの間にボード上の断熱材を入れていきます。写真はネオマフォーム。

その上に、やはり透湿防水シートを張り一層目の床板(荒床)を張ります。その上にさらに断熱材(写真は羊毛)を敷き詰めます。

床は、2重の断熱構成となっていて冬でも気持ちの良い素足の生活ができます。

板倉の家は、無垢厚板の断熱性能の上にさらに、このように省エネ基準の断熱性能を付加しているので、信州の寒い冬でも、そして暑い夏でも快適に暮らすことができます。今年のような湿度が高く暑い夏でも、外断熱と無垢厚板に囲まれた室内は、厚板の調湿作用により湿度が抑えられ自然な室内環境が保たれています。目に見えない環境性能も快適にしてくれる、板倉の家です。

2019年7月25日

店舗併用住宅 完成

カテゴリー: 設計について

自然食品を扱う店舗併用住宅が完成しました。

木造平屋建ての建物で、市街地の主要道路の角地に面しています。前の通りからお店の雰囲気がよくわかるように、道路面の外壁はガラス張りとしています。ガラス張りに対してコントラストを付けた板張りの外壁部分には大きな出窓のショーウィンドウを設けています。かわいい越屋根を付けた店舗部分の形体は雁行していて、角地にふさわしいものとしました。奥のコンクリート塀に囲われた部分が住宅です。

まだ、住宅部分の外構ができていません。また、お店の裏には、建替え前の庭にあった稲荷神社がありますが、ここの整備もこれからです。すべてが完成したらまたお知らせします。

 

 

 

 

2019年5月31日

新緑の季節

カテゴリー: 暮らし

緑あふれるさわやかな季節。

しかし、皐月の清々しい気候を通り越して、今年はいきなり真夏のような暑い日がやってきましたが、少し落ち着いたようです。

我家の庭の最も美しい季節です。

自然の野原のような風景がコンセプトと、いつも都合のよい言い訳をして手入れをサボっています。

でも、今だけはそのコンセプトの通り、野の花たちが咲き競っています。

2019年4月24日

信州の建築家とつくる家 Vol.14 発刊

カテゴリー: 設計について

今年も「信州の建築家とつくる家」シリーズが出版されました。長野県の建築家有志による自費出版で、出版社などが多少変わりながらも今回で14巻目です。編集の方法も毎回進歩していますが、やはり掲載される建築の質がかなり向上しています。都会のような狭小な敷地にアクロバット的な解決方法で目を引く建築は掲載されていません。信州ならではのゆったりとした自然に包まれた敷地に、おおらかで質の高い建築ばかりです。しみず建築工房の「原村の家」も掲載されています。県内の書店で販売されていますが、お問い合せいただければ販売いたします。

 

また、日本板倉建築協会の会誌「いたくら」も、第5号(2019年版)ができました。東日本大震災の板倉仮設住宅が、西日本豪雨の仮設住宅に転用された記事が詳しく出ています。福島から岡山へ仮設住宅がリレーされ板倉工法の可能性・有効性が改めて示されました。協会には新たな会員も徐々に増えて、全国に板倉工法が少しずつ広がっています。この本は、会誌なので一般書店では販売していません。お問い合せいただければ、ご希望の方に販売いたします。

事務所ビル 竣工

昨年から工事をしていた事務所ビルが竣工して、営業を始めています。シンプル&ベーシックな建築ですが、温熱環境には気を使い、置き屋根方式で太陽熱を遮断し、壁の断熱もしっかりしています。もちろん遮熱型のLow-Eペアガラス断熱サッシュ。平面形も単純でフリーアクセスの床を備えオフィスのレイアウト変更等に柔軟に対応します。ローコスト化のため目立ったデザインは一切していませんが、誰にでも使いやすく長く使える建築となっています。

2019年3月10日

店舗併用住宅 上棟

カテゴリー: 設計について

昨年の暮から始まった店舗併用住宅新築工事の建て方が始まりました。木造伝統構法の平屋建てです。自然食品の販売店です。また、それを使った料理教室も開けるよう大きなキッチンが付属しています。

街路に面した店舗部分は、赤松の太鼓梁を使い、天井は貼らず軸組み表しの広く大きな空間となります。

この店舗は、街中のため法規上防火構造の必要な範囲・部分だけ板倉構法の防火構造壁を利用し、他は構造用合板の壁としてコストダウンを図っています。しかし、住宅の床や屋根の野地板は、板倉構法用の厚板を使い丈夫な家としています。

これからいよいよ内装・造作工事が始まります。

 

2019年1月13日

2019年 今年も宜しくお願いします。

カテゴリー: 設計について

ここ真田周辺は、今年は雪も無く穏やかな新年となりました。本年も宜しくお願いします。

さて、現場のほうは、年を越えいよいよ佳境、竣工に向け慌しくなっています。事務所ビルの現場の様子の続きです。

外壁の塗装も終わり、足場が取れ外観が現れました。外壁と大きな開口部を交互に配した外観は、内部のレイアウトに対応し、自由にどこでも間仕切れるような空間単位とするためです。どの部屋でも十分な採光と換気ができるようにしています。あたりまえの構法とありふれた材料を使いながら工夫を重ね、省エネでローコストな使いやすいオフィスビルとしています。

内部もほぼ仕上がってきました。壁を塗装しフリーアクセスフロアを置くと竣工です。左の壁がグレーなのは、磁石が効く下地ボードです。仕上げはホワイトボードシートを貼ります。マーカーで自由にいろいろ書いたり、紙を磁石で留めたりできる大きなホワイトボード壁となります。事務所ビルとして日常業務にはとても便利な仕掛けです。

いよいよ最後の追い込みです。

2018年12月8日

事務所ビル 建設

カテゴリー: 設計について

10月にお伝えした事務所ビルの建設が順調に進んでいます。上棟し鉄骨の骨組みが出来あがったところです。

鉄骨フレームのコストシュミレーションによって設計されたシンプルな構造体です。要求された条件・面積を確保するための必要最小限の構造体。見た目も無駄のないスレンダーな印象を与えます。

2階・屋上のALC床が張られました。壁もALC版を張っていきます。

外壁が張られ、建物の形が現れてきました。将来内部をいろいろな部分に仕切っても、それぞれの部屋で明るい採光が確保できるように。しかし、あまりガラス開口が大きすぎると冷暖房の熱負荷が多くなり省エネでなくなるので、大きな開口と壁が交互に繰り返すファサード(立面)としています。

金属折版の屋上です。ALC屋根版の上に金属折版を浮かして取り付けた置き屋根形式で、中間の空気層の熱気を抜く工夫をし、省エネに役立てています。

 

内装工事も始まりました。天井下地や壁もできてきました。外壁の断熱などを行い、ボードの仕上げを行っていきます。

間もなく外壁の吹付け仕上げが行われると足場が取れ、建物がはっきり見えるようになります。

 

2018年11月18日

重要伝統的建造物群 見学会 真壁&栃木

カテゴリー: 設計について

私の所属する〈NPO 木の建築フォラム〉の講習会「伝統木造の保存・活用」に参加してきました。10月20日は茨城県桜川市真壁町、11月17日が栃木県栃木市嘉右衛門町の重伝建地区に行き、保存活用の経緯や問題点などを直接関わった研究者等から講義を受け現地研修を行ってきました。

まずは真壁町。 小さな町ですが筑波山北側の在郷町として栄え、登録有形文化財家屋100以上を誇る町並み保存の先進地です。重伝建に選定された翌日、東日本大震災により土蔵など多くの建物が被災しましたが、現在大部分が修復されました。町並みの中の伝統的な建物をご覧ください。

 

つぎは、栃木市。ここは「蔵の街 小江戸とちぎ」として現在は観光地として賑わいを見せています。朝廷から日光東照宮へ遣わされた祭祀である例幣使(れいへいし)の通う道沿いに栄えた栃木町。昭和60年の調査では、蔵の街として知られる川越よりも多くの蔵造りの建物があったそうです。戦前から蔵造りの町並み保存に市民が関心を持っていて、その長い歴史と熱心さが現在の町並みに表れているようです。

大通りの新しいスタバの建物も伝統的な町並みに調和する好ましいデザインで、気に入りました。

重伝建地区にある油伝味噌の御当主の説明。

これは、重伝建地区内にある「旧ヤマサ味噌工場跡地」の改修部分と俯瞰した写真です。市が買い取り保存・改修を進め、大きな観光施設になる予定です。

いずれの町も、地域に残る貴重な遺産を粗末にせず、長い時間をかけ大切に後世に繋いでいく、行政を含む地域ぐるみの活動が少しづつ成果をあげていると思います。まちづくりや町並み保存とは数十年に及ぶ積み重ねであり「ローマは一日にして成らず」をしみじみ感じました。