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2022年1月27日

2022 令和4年

カテゴリー: 暮らし

冬の景色

新年が明け、早くも1か月が経とうとしています。昨年の自治会長の職務から解放され、少し落ち着いて周りを見回してみました。写真は自宅近くの神川の流れです。ここは、2019年の台風19号によって堤防が崩落したところ。昨年暮れ、やっと新しい堤防が完成しました。雪で覆われていますが、きっちりとした直線ラインで新しい堤防であることが分かります。以前のよたよたした堤防ようにヒューマンで自然な感じはありませんが、強度は確保できているのでしょう。安心安全にはなったものの人工物然としているところは仕方ありません。

故郷の豊かな自然環境を生かしたいけれど人間の暮らしやすさや安全も大切です。どのへんで折り合いをつけていくか、いつも悩ましいところです。東日本大震災後整備された東北沿岸の大規模な防潮堤を思い出してしまいました。

さて、1月も下旬になると陽が伸びてきて、冬の風景でも少し明るくなります。私の好きな風景画家に「春を待つ雪の風景画家」と呼ばれる塗師祥一郎がいます。冬の雪の風景を描いているのですが、何となく春の予感のする温かみが感じられる画風で忘れられません。上の写真も、冬の雪景色ですが、光が少し明るくなって春を予感するような、と感じるのは私だけかもしれませんが。「春よ来い、早や~く来い」ですね。

2021年8月23日

夏の風情

カテゴリー: 暮らし

お盆も過ぎ8月も後半に入りましたが、まだまだ暑い日が続きます。

夏になると我が家では、土間の前にヨシズを掛けます。暑い日射しを和らげてくれますし、ヨシズを通した涼しげな夏の庭の風景が好きです。7月初旬、暑くなってくるころヨシズを掛けると本当に土間が涼しくなります。

軒から少し前に出た木製フレームが役に立ちました。このフレームは、ヨシズのために作ったものではありませんでした。土間と庭の間の緩衝空間をつくるため、枕木を敷いて縁側のような空間を演出するための装置として作ったのですが、ヨシズを掛けたり、単管パイプを渡して布団干しに利用したりと実用的な使い方が広がりました。

ヨシズの下端は、風でバタバタしないように紐でレンガに結んであります。さすがに台風の時は、ヨシズを巻いて下ろします。天気を気にしながら人力で下ろす作業をします。多少面倒ですが、これも自然との対話と思っています。なんでも自動化せず、多少のことは人間が動いて対処する余裕が必要なのかもしれません。

2021年5月22日

板倉の家完成

カテゴリー: 設計について

新しい板倉の家が完成しました。外装は、定番のカラマツ竪羽目板と漆喰塗です。外観は同じですが、屋根の構成は通気層の厚さを大きくし、遮熱シートをプラス。近年の温暖化による夏の異常な暑さに対処しています。

他にも軒桁の小口(断面部分)に雨が当たらないよう、屋根の野地板の出をより大きくしたりなど、細かい改良を常に加えています。少しずつ改良を重ね、見えない部分でも完成度を高めている進化する板倉の家です。

 

2021年3月24日

コロナに負けるな!          無垢の木の抗ウイルス性

カテゴリー: 設計について

昨年からのコロナ禍は、いまだ世界中を覆っています。国内でもワクチン接種が始まりましたが、すべての国民にいきわたるのはだいぶ先の事ですし、変異ウイルスも出現しこの先どうなるのか?まだまだ先の見えない日々が続きます。

そんな中ですが、無垢の木の抗ウイルス性に関する実験結果を「木の家の健康を研究する会」の九州大学准教授 清水邦義氏が発表しました。

実験はインフルエンザA型ウイルスを使っていますが、新型コロナウイルスでも同様の結果が期待できるそうです。無垢杉材の表面についたウイルスは、化粧合板の表面と比べ感染力が激減したそうです。やはり自然素材の無垢の木は、抗菌・抗ウイルス性が強く住宅の素材として、最適だということが分かります。高齢者や幼児、疾患のある方等免疫力の弱い家族にも安心の暮らしができる自然素材の木の家です。

板倉の家は、全て無垢の木だけで造り、無垢の木だけに囲まれるわけですから科学的にも健康に良い家であると言えます。次回は「木の家の健康を研究する会」の他の研究成果をお伝えしたいと思います。

 

 

2021年2月13日

春のたより 

カテゴリー: 暮らし

もう2月も、中旬となりました。日射しにも春の気配を感じます。我が家の庭をふと見ると、福寿草が咲いていました。

思わぬ春のたよりに、心がほっとし癒されます。また今年も自然の営みがまわり始めた。春夏秋冬いつでも自然は休むことなく回っているのですが、とりわけ春のたよりはうれしいものです。今年は、コロナ禍も収まりいつものような人々の営みが帰ってくることを祈りたいと思います。

でも、「GO TO 何とか」のようにいきなり経済活動を爆発されるのではなく、地球上での人間の生き方はどうあるべきかを考えながら、再開させたいものです。

小さなオオイヌノフグリも咲いていました。これらの花のように静かに、しかし、美しくありたいものです。

 

 

 

2020年12月31日

板倉の家 仕事納め

カテゴリー: 現場だより

板倉の家は、上棟後 屋根を葺き断熱材を張り付け終わり、透湿防水シートと通気胴縁などを施工中です。大屋根の形態が現れて家らしくなってきました。ここまで来れば、本格的な寒い冬でも作業しやすいでしょう。これで年を越します。

今年は、コロナに始まりコロナに終わる、コロナ禍に振り回された一年でした。私は、当初年末には収束するだろうと甘い見通しでいましたが、収まるどころかますます拡大しています。

人類の経済活動は、数十年前に比べれば明らかに拡大し、地球のエネルギー資源を貪り食い、地球に大きな負荷をかけている状態でしたが、奇しくもコロナ禍が急ブレーキを掛けたようです。あまりに急だったので翻弄される人々が出てしまいましたが、これを機に人類の経済活動の在り方を見つめ直さなければいけないと思っています。

来年は、コロナ禍が収束したらお祭り騒ぎをするのではなく、地球に対して謙虚な人間であるよう心掛けていきたいと思います。   よいお年をお迎えください。

 

 

2020年11月25日

板倉の家 上棟

カテゴリー: 現場だより

伝統的構法の板倉の家の建て方を行っています。大きな台風・水害に見舞われた昨秋でしたが、今年は台風はほとんどなく天候に恵まれ、建て方は順調に進みました。

まず1階の柱を立て、柱に刻まれた溝に壁の厚板をコンコンと叩きながら落とし込んでいきます。

1階の壁がどんどんできていきます。

これが壁や床・屋根になる無垢のカラマツ厚板です。もちろん100%国産地域材。長さは工場であらかじめカットされているので、現場ではただ落とし込むだけ。地域の森の木を大量に使って林業を活性化させ、地域の職人の手作りなので地域経済にも潤いが生まれる。日本の人と環境を護る板倉構法の家です。

そして梁・桁を載せていきます。

2階の床組(根太)を取り付けて、2階の柱を建て同じように壁の厚板を落とし込みます。

1階と同じように屋根の梁を載せ垂木を取り付け屋根板(野地板)を取り付けます。

無垢の板に囲われた2階の部屋の様子。自然素材のみの空間が現れました。

無垢の木だけで造る板倉の家の上棟です。合板やボードに頼らず芯の芯まで自然素材の家です。

2020年10月29日

板倉の家 現場

カテゴリー: 設計について

板倉構法住宅の現場が始まりました。基礎コンクリートが打たれ、型枠を外しています。

コンクリートのきれいなベタ基礎が現れました。型枠は、金属のメタル型枠。合板の型枠よりも多数回使いまわしがきき、表面が平滑なのできれいな仕上がりとなります。しかし、合板の型枠のように切断加工していろいろな形の基礎に対応することはできません。今回の基礎は、平面に細かい変形箇所がなく、理想的な形の間取りでしたので効率よくメタル型枠が使われました。

そして、基礎工事の間に構造材の材木の加工がおこなわれています。

今回は伝統的構法の建物ですので、梁や柱の加工はプレカットのマシンではなく大工さんが1本々手刻みで行っています。それぞれの木の性格を読みながら、木と対話しながら加工してくれます。機械での効率的な加工にスピードは及びませんが、自然からの贈り物である木を大切に扱うことで、永く住み継ぐことのできる温かみのある木の家になります。

加工が終わると、いよいよ板倉構法の建て方となります。

2020年9月17日

板倉の歴史

カテゴリー: 設計について

今回は、板倉構法のルーツを探してみましょう。

 これは皆さん「校倉(あぜくら)造」としてご存じ の東大寺の正倉院です。奈良時代に建てられた、古代の美術工芸品の一大宝庫で、もちろん国宝、世界遺産でもあります。校倉造とは、三角形の校木(あぜぎ)という木材を井桁に積み重ねて外壁を造る構法で、写真の横ストライプの外壁でよく分かると思います。

とても大きな建物で3つの部屋に分かれていて、向かって右から北倉(ほくそう)中倉、南倉と呼ばれています。よく見ると外観写真の真ん中部分(中倉)は、校倉造ではありません。中倉は厚板を柱の溝に沿って落とし込んだ「落し板倉構法」です。この中倉は後の時代の増築との説もありますが、部材の木材年代測定から北倉・南倉と同時期のものとの説が有力です。

有名な話に、正倉院の校倉の壁は湿度が低いときは校木(あぜぎ)が乾燥収縮し、隙間ができて風が通り室内を乾燥させる。湿度が高いときは校木が膨らんで湿気を遮断するので室内環境が安定し何百年も宝物を護ることができた、というものがありますがこれはちょっと違います。

無垢の木の外壁なので湿気を吸放出するのは確かなのですが、隙間ができて通気することはありません。宝物はさらに唐櫃(からびつ)というの無垢の木の箱の中で保存されたことが良かったようです。

校倉造も広義には板倉構法の一部ですが、「落し板倉構法」はこのように昔から大切な宝物を護る建物に使われてきました。このほか神聖な伊勢神宮も(形態は唯一神明造)壁は「落し板倉構法」です。

これは、私の地元上田市の塩田平にある中禅寺薬師堂です。平安時代末期に造られ重要文化財となっているもので、中部地方最古の建築といわれています。薬師如来坐像を納めた建物で、形態は阿弥陀堂形式一間四面堂といいますが、壁は「落とし板倉構法」です。

上が外壁写真で丸い柱に溝を突き、厚板を落とし込んでいるのがよく分かります。

この他、弥生時代の登呂遺跡や吉野ケ里遺跡などの穀物倉庫も高床の板倉構法によってつくられていたようです。このように板倉構法の堅牢性・耐久性、優れた温熱環境(断熱・調湿)性能は、古代から大切な穀物や宝物を護るために使われてきました。

古の知恵を賢く使い、機械に頼らず快適な住環境を実現するのが現代の「板倉の家」なのです。

 

2020年8月10日

夏の草花

カテゴリー: 暮らし

異常に長かった梅雨も明け、やっと夏らしい日々となりましたが、今度は異常に暑すぎます。この異常続きはやはり温暖化ということなんでしょうけれど。例年の帰省ラッシュは、今年はコロナ禍でありません。異常・異例続きのこの夏ですが、庭の草花は、例年のようににぎやかに咲いてくれました。にぎやかなのはほとんど雑草だけかな。

この朝顔は、ヘブンリーブル―という珍しい種?と家の奥さんが申してますが、ゴチャゴチャな咲き方で、せっかくのさわやかなブルーが活かされていない。今度はちゃんとした棚を作ってあげましょう。

他にも雑草と競争しながら、たくましく咲いてくれて目を楽しませてくれます。